コラム・特集記事
動物専門学校の1日
2025.01.20 掲載
動物専門学校ではどのような1日を過ごすのでしょうか。中央動物専門学校の愛玩動物看護師学科2年生、田中さんの1日を密着レポートします。
8:30 登校・朝の準備
「朝は8時30分には学校に到着しています。1限目の授業が始まる前に、実習室の動物たちの健康チェックを行うのが日課です。犬や猫、ウサギなど、約20匹の動物たちが私たちの実習パートナーです。」
9:00 1限目:動物内科看護学
「今日の1限目は内科看護学の授業です。循環器疾患について学びました。心雑音の聴診方法や、心電図の読み方など、実際の現場で必要になる技術を学んでいます。先生は現役の獣医師で、実際の症例を交えながら説明してくれるので、とても分かりやすいです。」
10:50 2限目:臨床実習
「2限目は待ちに待った実習の時間です。今日は採血の練習をしました。最初は怖くて手が震えましたが、先生や先輩の指導で少しずつ上達しています。動物たちも慣れてきて、私を見ると尻尾を振ってくれるようになりました。」
12:40 昼休み
「昼休みは友人たちと一緒に学食で過ごします。同じ夢を持つ仲間たちとの情報交換の時間でもあります。国家試験の勉強方法や、就職活動の話など、お互いに刺激を与え合っています。」
13:30 3限目:動物薬理学
「薬理学は正直難しい科目の一つです。薬の作用機序や副作用など、覚えることがたくさんあります。でも、実習で実際に薬を使う場面があると、『ああ、これが授業で習ったことか』と実感できます。理論と実践が結びつく瞬間が嬉しいですね。」
15:20 4限目:動物愛護・適正飼養学
「最後の授業は動物愛護・適正飼養学です。法律や動物福祉について学びます。愛玩動物看護師は単に医療技術だけでなく、動物の福祉向上にも責任を持つ職業だと改めて感じます。」
17:00 放課後・自主学習
「授業が終わった後も、多くの学生が学校に残って勉強しています。図書館で国家試験の過去問題を解いたり、実習室で技術の練習をしたりしています。私も週に3回は残って勉強するようにしています。」
田中さんからのメッセージ
「動物専門学校は忙しいですが、とても充実した毎日を送っています。実習を通じて動物と触れ合えること、同じ目標を持つ仲間がいることが、何よりもモチベーションになっています。国家試験合格に向けて、残り半年頑張りたいと思います!」
愛玩動物看護師になった先輩インタビュー
2025.01.15 掲載
2023年に愛玩動物看護師国家試験に合格し、現在都内の動物病院で活躍している山田さん(24歳)に、仕事のやりがいや学生時代のことについてお聞きしました。
愛玩動物看護師を目指したきっかけ
山田さん:「子どもの頃から動物が大好きで、将来は動物に関わる仕事に就きたいと思っていました。高校生の時に家で飼っていた犬が病気になった際、動物病院で働く看護師さんがとても優しく、専門的なケアをしてくれたことが印象的でした。その時に『私もこんな風に動物と飼い主さんを支えられる仕事がしたい』と思ったのがきっかけです。」
学生時代で一番印象に残っていること
山田さん:「やはり臨床実習ですね。実際の動物病院で働く経験は、座学だけでは学べない多くのことを教えてくれました。特に印象に残っているのは、交通事故に遭った猫の緊急手術に立ち会ったことです。獣医師の先生と連携して、一つの命を救うために全力で取り組む現場を体験し、この職業の責任の重さとやりがいを実感しました。」
国家試験の勉強で苦労したこと
山田さん:「一番苦労したのは暗記系の科目です。特に解剖学や薬理学は覚える量が膨大で、何度も挫折しそうになりました。でも、実習での経験と関連付けて覚えるようにしたら、理解が深まりました。友達と問題を出し合ったり、先生に質問したりして、最後まで諦めずに頑張りました。」
現在の仕事について
山田さん:「総合動物病院で内科・外科の両方を担当しています。診療補助から入院動物のケア、飼い主さんへの指導まで幅広い業務を行っています。国家資格化により、以前はできなかった採血や投薬も法的に認められ、より専門性の高い仕事ができるようになりました。責任は重いですが、それだけやりがいも大きいです。」
一番嬉しかった出来事
山田さん:「重篤な状態で運ばれてきた犬が、チーム医療により回復し、飼い主さんと再会できた時です。飼い主さんが涙を流して喜んでくださり、『山田さんのおかげです』と言っていただけた時は、この仕事を選んで本当に良かったと思いました。動物の命を救うだけでなく、家族の絆を守ることにも貢献できている実感があります。」
これから目指す人へのアドバイス
山田さん:「愛玩動物看護師は決して楽な仕事ではありません。体力的にも精神的にも大変な面があります。でも、動物と飼い主さんを支えることで得られる充実感は何物にも代えがたいものです。学生時代は大変ですが、しっかりと基礎を身につけ、実習を通じて現場の経験を積んでください。そして何より、動物への愛情と責任感を持ち続けることが大切です。」
将来の目標
山田さん:「今は内科・外科の知識を深めていますが、将来的には腫瘍学の専門資格を取得したいと考えています。ペットの高齢化により、がんの治療需要が高まっているからです。また、後輩の指導にも積極的に関わり、愛玩動物看護師の地位向上に貢献していきたいです。」
資格化で動物医療はどう変わる?
2025.01.10 掲載
愛玩動物看護師の国家資格化から3年が経過しました。この制度変更により、動物医療現場にどのような変化が起きているのか、専門家の視点から解説します。
医療の質向上
国家資格化により、愛玩動物看護師の知識・技術レベルが標準化され、全国的に医療の質が向上しています。特に以下の分野で顕著な改善が見られます:
- 診療補助技術の向上:統一されたカリキュラムにより、基礎技術のレベルが底上げされました
- 感染管理の徹底:法的位置づけにより、感染管理への意識が大幅に向上
- 記録の正確性:カルテ記載や観察記録の質が向上し、医療安全が強化されました
チーム医療の発展
獣医師と愛玩動物看護師の役割分担が明確化され、より効果的なチーム医療が実現されています。
役割分担の明確化
- 獣医師:診断・治療方針決定・高度な医療処置に専念
- 愛玩動物看護師:看護ケア・検査・投薬等の専門業務を担当
コミュニケーションの改善
法的な業務範囲が明確になったことで、獣医師と愛玩動物看護師間のコミュニケーションが円滑になり、より効率的な診療が可能になりました。
飼い主へのサービス向上
愛玩動物看護師の専門性向上により、飼い主へのサービスも大幅に改善されています。
相談窓口の充実
- 健康管理指導:予防医療に関する専門的なアドバイス
- 栄養指導:疾患に応じた食事管理の指導
- 行動相談:基本的なしつけや問題行動への対応
インフォームドコンセントの向上
愛玩動物看護師が治療内容や注意事項を詳しく説明することで、飼い主の理解が深まり、治療への協力度が向上しています。
動物病院経営への影響
国家資格化は動物病院の経営面にも大きな変化をもたらしています。
人件費の適正化
- 給与水準の向上:国家資格により、愛玩動物看護師の給与水準が上昇
- 人材確保の安定化:専門職としての魅力向上により、人材確保が容易に
収益性の改善
- 診療効率の向上:役割分担により、1日あたりの診療件数が増加
- 専門サービスの提供:看護師による専門的な指導サービスの収益化
課題と今後の展望
一方で、資格化に伴う課題も浮き彫りになっています。
現在の課題
- 地域格差:都市部と地方での待遇格差が拡大
- 継続教育の必要性:資格取得後の継続的な学習体制の整備
- 専門分化の進行:専門分野での高度な知識・技術習得の必要性
今後の展望
- 専門認定制度の確立:各分野での専門資格制度の整備
- 研究活動への参画:愛玩動物看護師による研究・論文発表の増加
- 国際的な連携:海外の動物看護師制度との比較・交流
まとめ
愛玩動物看護師の国家資格化は、動物医療界に革命的な変化をもたらしました。医療の質向上、チーム医療の発展、飼い主サービスの向上など、多方面での改善が実現されています。今後も継続的な制度の改善により、さらなる発展が期待されます。